顧客は、人口100万人規模の都市で中上位クラスの住宅街を開発する事業者です。3つのプロジェクトを販売中で、自社営業チームと提携仲介会社を通じて販売していました。着手前のWebサイトは、マスタープラン、完成予想図、間取りPDFを載せた案内用ページにすぎません。広告はトップページへ誘導し、「電話番号を入力してください」という唯一のフォームにはあらゆる問い合わせが集まっていました。問い合わせは遅延や漏れを伴いながら手作業でCRMへ転記され、見込み度の判定もありませんでした。マーケティング部門は、チャネル別の成約単価という単純な問いにも答えられない状態でした。オンライン広告予算が倍増した一方で、Web経由の成約数は増えなかった四半期をきっかけに、プロジェクトが始まりました。
案内用のカタログサイトを営業ツールへ変えること。PDFに代わるインタラクティブな住戸選択、担当者の電話前に訪問者を絞り込むファネル、流入元と回答を添えた問い合わせのCRMへの自動連携、広告クリックから成約までの一貫分析を実現します。営業部門
の業務を妨げないことが絶対条件であり、新しい仕組みへの切り替え中も広告キャンペーンは止めませんでした。
デザインではなくデータから始めました。クリックから成約までのファネルを分析し、1年分のCRM履歴を出力し、営業担当者に問い合わせで不足している項目を聞きました。その回答が全体の設計を決めました。
- 顧客の動線とデータを監査しました。広告クリックから成約までのファネル、「空振り」の電話の理由を分析し、営業担当者に聞き取りを実施。その結果、初回電話の時間を本当に節約できるクイズの質問を5つ特定しました。
- 棟、面積、階、眺望で絞り込めるインタラクティブな住戸検索を設計しました。CRMから取得した実際の販売状況を表示するインタラクティブな住戸表も用意し、毎週古くなる静的なPDFを置き換えました。
- 6ステップのクイズ型ファネルを作成しました。予算、購入時期、家族構成、仕上げ、支払い方法、結果を受け取る連絡先を質問します。各ステップに進捗バーを表示し、回答が最後の候補にすぐ反映される透明なロジックにしました。
- 提携銀行のローン商品を使った住宅ローン計算機を組み込みました。選択した住戸の概算返済額を示し、購入が現実的かを判断しやすくして、連絡先を入力する意欲も高めます。
- CRMを連携しました。各問い合わせからUTMタグ、流入元、クイズ回答、関心のある住戸を含む商談が作成されます。重複とボットは自動で除外され、担当者にはすぐ対応できる顧客カードが届きます。
- 広告アカウント、サイト、CRMをつなぎ、チャネル別のリード単価と成約単価を報告する一貫分析を設定しました。マーケティング部門が予算の実際の行き先を初めて把握できるようになりました。
- クイズと「折り返し希望」フォーム、フォームの表示タイミング、ボタン文言をA/Bテストしました。問い合わせ数だけでなく、有望な連絡先を最も多く獲得する構成を採用しました。
重要な判断は、ファネルを誠実に設計することでした。クイズ結果をフォームの後ろに隠さず、まず候補の住戸を示し、「詳細な試算」を送るためにその後で連絡先を尋ねます。形式上は連絡先の数が減りますが、一人ひとりが希望を理解しています。数よりも見込み度を重視して最適化しました。問い合わせの総数はわずかな増加にとどまりましたが、訪問1,000件あたりの成約は27%増え、営業担当者のシフトが「そもそも何があるのですか」という電話に費やされなくなりました。
経済効果は早く表れました。広告予算を変えずに、予算と購入時期が分かっている問い合わせが営業チームに3倍届くようになり、Web経由の成約コストは3分の1下がりました。サイトとCRMのやり取りの間で失われていた問い合わせという独立した損失要因も、連携によってなくなりました。今はすべての商談が自動作成され、管理者がリアルタイムで確認できます。一貫分析によって予算配分も変わりました。クリック数では良く見えた2つのチャネルが成約ベースでは赤字と分かり、実際に収益性が確認できたチャネルへ予算を移しました。
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| 訪問から問い合わせへの転換率 | 1,1% → 3,4% |
| 有望リードの獲得単価 | −41% |
| リードから成約への転換率 | +27% |
| 問い合わせがCRMに記録されるまでの時間 | 最長1日、手作業 → 即時、自動 |
指標はケースの原資料から転記しています。期間は出典に記録がある場合に記載しています。
- 訪問からリードへの転換率(導入前1.1%)
- 3.4%
- 有望リードの獲得単価
- −41%
- リードから成約への転換率
- +27%
- のリードがCRMに自動登録
- 100%
- 01広告クリック
- 02クイズ6ステップ
- 03住戸選択
- 04連絡先詳細な試算を受け取るため
- 05CRM内のリードUTMとクイズ回答付き
- 予算
- 購入時期
- 家族構成
- 仕上げ
- 支払い方法
- 連絡先
次の成長機会として提案する施策:
- 頭金付きのオンライン住戸予約。販売オフィスへ行かずに5分で予約できる、セルフサービスの次の段階です。
- 購入者向けマイページ。書類、支払い、建設進捗をまとめ、建設期間中のサポート負荷を軽減します。
- GEOでの露出。住宅街、学校、周辺施設の事実を構造化し、AIアシスタントが「どの住宅街を選べばよいか」という質問に答える際、開発事業者のプロジェクトを正確に紹介できるようにします。
以前は電話を買っていました。今は間取りを選び、住宅ローンの返済額も分かっている人との会話を買っています。開始後最初の会議で、営業担当者が「リードが急に賢くなったのはなぜですか」と聞きました。
— 住宅開発会社の営業責任者